前回の【行きかた・プールヴィラ客室編】に続き、今回はマンダパの食事について書く。
渓谷を望むカジュアルダイニング、川のほとりの竹の個室席、伝統舞踊を眺めながらのディナー、そして「バリ最高峰」と言いたくなる朝食ビュッフェ。マンダパは、「食べるために行く価値」のあるホテルだ。
【到着日】まずはプールサイドで遅めのランチ
チェックインを済ませて、まず向かったのが棚田と雄大な山の景色を望むプールサイドのダイニング。軽めの昼食をとりつつ、部屋の準備完了を待つ。

開放感にあふれるプールサイドのダイニング。ビールが飲みたくなる。

謎のパン。イングリッシュマフィンのような生地で、薄くて軽やかな食べ心地。

ケールのサラダ。新鮮そのもので、ケール特有の青っぽいえぐみが全くない。マンダパは「地産地消」の考え方を大事にしている。メインレストランのクブに至っては、ホテルから半径100km圏内で採れた食材しか使わない。まさに、こだわりの里だ。
【夕食①】Sawah Terrace(サワテラス)|伝統舞踊を観ながらのインドネシア料理コース
初日の夕食は、谷を望むカジュアルダイニング「Sawah Terrace(サワテラス)」へ。芝生のステージにキャンドルとバリの傘が並び、夕暮れの風と共に渓谷からは川のせせらぎが聞こえる。実にエレガント。



サンバルがうまい
注文したのはインドネシア料理のコース。
まず運ばれてきたのが、7種のサンバル(薬味ペースト)。それぞれに木の小さなスプーンが挿してある。これが、うまい。運ばれてきた料理に合わせて食べるのがとにかく楽しい。ビールが進む。

(7種類のサンバル。単体で食べてもいいけれど、好みの組み合わせを探すのも楽しい。)
サテ(串焼き)、揚げたテンペと生野菜、土鍋のスープ。テーブルいっぱいに広がる。




演奏と舞いは、ずっと続く
レストラン内に流れるのは伝統楽器の生演奏。大自然を思わせるゆったりしたリズムの中に、ときおり神の啓示のような「おや?」という音が差し込まれるのが、なんとも心地よい。
やがて舞いが始まる。金の冠と極彩色の衣装をまとった踊り手が4人。


途中からは仮面をつけた踊り手が登場し、客席まで降りてくる。これがなかなかの迫力で、目の前に来られると本気で身構える。


舞いの最後には、踊り子の皆さんが耳に花を挿し、額に白い何かを塗ってくれた。なんだろうと思ったら、生米だった。そういえばこのホテルの中央には棚田がある。日本と同じく、米を五穀豊穣の象徴、幸福の種と考えているのだろう。米ってすごい。
誕生日ケーキは黒い山だった
ここでサプライズ。デザートに誕生日を祝うチョコレートケーキが登場した。黒い三角錐で、火山を模しているように見える。

地元の甘味もたらふく。「ビカアンボン」というケーキがおいしかった。もちもちして、うすら甘い。満腹で就寝。

【夕食②】Kubu|竹の「コクーンシート」で味わう100kmガストロノミー
2日目の夕食はメインレストランの「クブ(Kubu)」。マンダパ自慢の料理を堪能する。
まず、席がすごい
竹を編み上げた大聖堂のような建物。入口には、その日の食材を積み上げたディスプレイが置かれている。かぼちゃ、とうもろこし、見たことのない赤い実。



(生のタマリンド。すっぱい。)

私たちが案内されたのは「コクーンシート」。竹で編んだかまくらのような、個室感のある特別席だ。この席だけで一見の価値がある。
正面は川。せせらぎを聴きながらの食事になる。

半径100kmでつくる、ヨーロッパの技法とバリの食材
クブの料理を一言で表すと「モダン・ヨーロピアンの技法 × バリの食材」。ホテルから半径100km以内の食材だけで仕上げるというコンセプトだ。メニューにはバリ島の地図が刷られていて、どこから何が来たかがわかるようになっている。

運ばれてくる料理は、どれも素材の味が前に出ている。作り込みすぎない感じが、どこか日本の料理に近い。

てっきりマグロだと思って食べた魚は、ジャイアント・トレバリーだった。なんて強そうな名前の魚なんだろう。

エビも地元のエビ。

豚のロースト。皮目がパリパリで香ばしい。生の胡椒の味が鮮烈なアクセントを残す。
3種の豆と、温めた卵黄
特筆すべきは豆の一皿だ。
まず現れるのが木のトレイ。小さな器がずらりと並び、それぞれに違う豆が入っている。これから食べる豆のプレゼンテーションである。豆に対する熱意がすごい。


そして皿が来る。

温めた卵黄が乗せられていて、スプーンを当てると「プチっ、どしゃー」と豆に流れていく。焼き鳥屋の「ちょうちん」を口に含んだ感覚に近い。豆はふっくら煮たもの、カリカリに焼き上げたものと食感が多彩で、一口ごとに新鮮な気持ちになる。
この皿のために、もう一度クブに行ってもいい。
ハーブティーは、その場で選ぶ
食後、ドライハーブの入ったグラスがトレイで運ばれてくる。香りを嗅いで、好きなものを選ぶ方式だ。


そしてマンゴスチン。氷を敷いた器に、うやうやしく1個。見た目からドリアンを思い出したが、酸っぱくて甘くて、柑橘のような爽やかさがある。マンゴスチンはうまい。

デザートは3部構成。ゆったりと食後の時間を楽しむ。



この夜も満腹。幸せな気分で眠った。
【朝食①】ビュッフェ|「バリ最高峰の朝飯やで」と言いたくなる品数
朝食はビュッフェとルームサービスの2通りを体験した。まずはビュッフェから。
こだわりの品々がびっしりと並んだ様子はまさに壮観。品数もさることながら、一つひとつの料理がビシッとしている。「どうだ、これがバリの最高峰の朝飯やで。感動して、ええんやで」と言われている気がする。





竹のカゴをかぶせたコールドカット、色とりどりの小瓶に入ったジュース、サラダバー、焼きたてのパン。作りたてのヌードル、ワッフル、卵料理を提供してくれるライブコーナーもある。



ビュッフェのほか、テーブルで注文できる料理も。オムレツを頼んでみた。ふわっとした卵の上にエビが乗っている。朝からエビ。正月みたいだ。

席では、生姜やウコン、タマリンドを使った特製ショットが配られる。

スタッフが小さな壺をカゴに入れて回ってくる。とりあえず全部飲んでみた。喉から自動的に「くああ」という声が出る味だった。
また、会場に併設された庭のようなスペースには祭壇があり、お供物とお香が焚かれている。

ヒンドゥー教と地域に根付いた信仰が合体した、バリ独自の宗教体系らしい。八百万の神を信仰する神道に近いムードがあるのだとか。食事をしながら文化に触れられるのも、この朝食会場の魅力だ。
【朝食②】ルームサービス|大自然に囲まれてヴィラで食べる
もう一日は、ルームサービスをとって部屋で食べた。
頼んだのは、ミーゴレンの目玉焼き乗せ、バナナリーフに盛られたナシチャンプル、ポーチドエッグの一皿。ミーゴレンの目玉焼きは、黄身を崩して麺に絡めるのが正解。まろやかさが加わって、うまい。



ジャングルのヴィラだから、当然のように虫と鳥に囲まれる。それも含めて、ここでしかできない朝食体験だ。
マンダパのレストラン・食事情報まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メインレストラン | Kubu(クブ)|アユン川沿いのファインダイニング。17:30〜23:00 |
| Kubuのジャンル | 公式表記はインターナショナル。モダン・ヨーロピアンの技法 × バリの食材 |
| 特別席 | コクーンシート(竹製の個室風シート)|要予約 |
| カジュアルダイニング | Sawah Terrace(サワテラス)|インドネシア料理。7:00〜22:00。朝食ビュッフェもここ |
| ライブ演出 | Sawah Terraceで伝統音楽の生演奏と舞踊(仮面舞踊あり) |
| 食材コンセプト | ホテルから半径100km以内の食材を使用するゼロウェイスト(Kubu) |
| 朝食 | ビュッフェ / ルームサービスから選択可 |
| 館内のその他の店 | Ambar(崖上のバー・和のフュージョン)/ The Pool Bar / The Library |
| 印象に残った料理 | 3種の豆と温めた卵黄の一皿、7種のサンバル、Crustacean Omelette、ビカアンボン、マンゴスチン |
マンダパは「食べに行く価値がある」ホテル
マンダパの食事は、単に「ホテルの中で完結できる」というレベルではない。渓谷や川といったロケーションと、演奏や舞いといった文化体験、そして半径100kmの食材というコンセプトが噛み合って、食事そのものが滞在のハイライトになっている。素晴らしい体験だった。
ウブドは山奥で移動に時間がかかるぶん、外へ食べに出るハードルが高い。だが、マンダパに関して言えば、それはまったくデメリットにならない。むしろ、宿の中でどれだけ食べるかを計画したほうがいい。
次回は【別の客室・施設・サービス編】。建物の3階にある客室と、専属バトラーのチャチャ、民族衣装での撮影サービス、棚田とアユン川を望むメインプール、そして子牛の「マンダ」と「ダパ」を紹介する。

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